やさしい東洋医学入門!第5章「五行説」

東洋医学を表したイラスト

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世界を5つの要素で表す「五行説」

前回(陰陽論 ↗)は、すべてのものが「」と「」という2つの性質で成り立つという《陰陽論》についてお話ししました。
昼と夜、動と静、温かさと冷たさ――どちらか一方では存在できず、お互いが支え合うことで、私たちの心や体も調和を保っています。

今回は、その陰陽のバランスをさらに深く理解するための考え方、《五行説(ごぎょうせつ)》についてお話しします。
自然界や人の体を「」の5つの要素でとらえ、それぞれの関係から心や体のバランスを読み解く理論を皆さんと一緒に紐解いていきましょう。

☯️ 「木・火・土・金・水」の法則

気の医学」、「陰陽論とと見てきましたが、東洋医学の基本概念には、もうひとつ大切な考え方があります。それが「五行説(ごぎょうせつ)」です。

五行説も、古代中国の思想から生まれた考え方です。
自然界や人間の体、この世に存在するあらゆるものは、「(もく)・(か)・(ど)・(こん/ごん)・(すい)」という5つの要素のどれかに当てはめることができると考えます。

では、「」とは、いったい何を表しているのでしょうか?
これは、自然界にあるものを象徴した5つの要素で、それぞれに次のような特徴があります。

【五行】【特徴・性質】【象徴(季節)】
草木が芽吹き、万物が生じる時期。
四方に柔軟に広がっていく性質。
「春」を象徴する。
火が燃えている様。
炎や熱のように、勢いよく上昇する軽やかさや、ものを燃やす性質。
「夏」を象徴する。
万物を育てる母なる大地。
豊潤さや濃厚さといった性質。
「四季のすべて」に関わっている。
金属の硬さや鋭さを意味している。
従順さや変更、改革といった変化の性質。
「秋」を象徴する。
湧水を意味し、万物を生み出す源。
周囲を潤し、冷やしながら下方に流れる性質。
「冬」を象徴する。

五行は、季節だけでなく、方角・自然現象・色・味・臓腑など、あらゆるものをこの5つの要素にあてはめて考えます。
それらの関係をまとめたものを「五行色体表(ごぎょうしきたいひょう)」といいます。

🌿 生み育てる関係と、抑制する関係

五行の5つの要素は、互いに生み育て、助け合う「相生(そうせい/そうじょう)」の関係と、
互いに抑え合い、バランスをとる「相剋(そうこく)」の関係があります。

陰陽五行相生説・相剋説のイラスト

🌱 五行相生(そうせい/そうじょう)説

五行相生説」とは、自然界の5つの要素()が、互いに助け合いながら、それぞれ特定の他の要素を生み出す関係のことを指します。

  • 木生火(もくしょうか):「木」は燃えて「火」を生み出す。
  • 火生土(かしょうど):「火」は燃え尽きると「土(灰)」を生む。
  • 土生金(どしょうこん):「土」は堆積すると「金(鉱石)」を生む。
  • 金生水(こんしょうすい):「金」のある鉱石は水脈を作り「水」を生む。
  • 水生木(すいしょうもく):「水」は種から芽を育て「木」を生む。

⚔ 五行相剋(そうこく)説

五行相剋説」とは、自然界の5つの要素()が、互いに牽制し合い、特定の要素を抑える関係のことを指します。

  • 木剋土(もくこくど):「木」は「土」に根を張り、養分を吸収して成長する。
  • 火剋金(かこくきん):「火」は「金」を溶かし、その形をコントロールする。
  • 土剋水(どこくすい):「土」は「水」をせき止め、水の流れを支配する。
  • 金剋木(こんこくもく):「金」は刃物となり「木」を切り倒す。
  • 水剋火(すいこくか):「水」は「火」を消し抑制する。

このように、五行には、互いに助け合う「相生と、互いに抑え合う「相剋という二つの関係があります。
この二つの関係によって、自然界や人間の体は調和を保っていると考えられています。

🌿 五行色体表(ごぎょうしきたいひょう)の活用法

五行色体表(ごぎょうしきたいひょう)」とは、東洋医学の考え方に基づき、人間の五臓(肝・心・脾・肺・腎)を中心に、深く関わる季節・身体の部位・不調の原因・現れやすい症状などをまとめた一覧表のことです。

五行色体表

それでは、「五行色体表(ごぎょうしきたいひょう)」をもとに、季節ごとに体に起こりやすい変化を見ていきましょう。

🌸 春(木)

「春」は「肝(かん)」が弱りやすい季節で、目や爪に不調が出やすくなります。
肝の働きが乱れると「目が充血したり」「爪がもろくなる」「怒りっぽくなる」といった症状がでます。

🌻 夏(火)

「夏」は「心(しん)」が弱りやすく、血液循環や精神面に影響が出やすい季節です。
動悸や不眠、顔のほてり、舌の痛みなどが起こりやすく、感情面では「喜びすぎ」や「興奮しすぎ」に注意。

🌱 土用(土)

「土用」は「脾(ひ)」が弱りやすく、消化器系に不調が出やすい時期です。
食欲不振や胃もたれ、口内炎、疲れやすさなどの症状が現れやすくなります。

🍂秋(金)

秋」は「肺(はい)」が弱りやすい季節で、呼吸器や皮膚にトラブルが出やすくなります。
乾燥によって「咳」「喉の痛み」「肌荒れ」「便秘」などが起こりやすく、悲しみの感情が強くなることも。

❄️冬(水)

「冬」は「腎(じん)」が弱りやすく、冷えや腰・足の不調が出やすくなります。
腎のエネルギーが低下すると「足腰のだるさ」「耳鳴り」「頻尿」「恐れの感情」が出やすくなります。

季節と体のリズムを知ることは、自然の流れに調和して暮らすことにつながります。
五行色体表を参考に、日々の食事や休養、気持ちの整え方に活かしてみてくださいね。


五行のめぐりを知ることで、私たちの心や体のリズムを整えるヒントが見えてきますね。

次回は、東洋医学のもうひとつの大切な柱「」について、くわしくお話ししていきます✨

次回も一緒に体と心の仕組みを深めていきましょう!


今日のお話が少しでも役に立ったら嬉しいです♪
健康は毎日の積み重ね。
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それではまた次回、カラダ整えて、心も凜(りん)と!

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