夏だけではない!土用という季節の変わり目

自然界の流れを活かす教え
東洋医学(中医学)の基本概念には「陰陽論」と「五行説」という考え方があります。
- 陰陽論:自然界のあらゆるものを「陰」と「陽」」という対立する2つのどちらかに分類できるという考え。
- 五行説:この世のあらゆるものは「木・火・土・金・水」という5つのどれかに当てはめることができるという考え。
とくに五行説には「木・火・土・金・水」の5つの要素が互いに抑制し合う五行相剋(そうこく)説、互いに助け合う関係とした五行相生(そうせい)説、そして5つの要素のうち「土」を他の要素より高い位置にあるとした五行土王(どおう)説の3つの考え方があります。
- 五行相剋説:自然界に存在する5つの要素(木・火・土・金・水)が高いに牽制しあう考え方。
(木剋土、火剋金、土剋水、金剋木、水剋火) - 五行相性説:自然界に存在する5つの要素が互いに強調しあう考え方。
(木生火、火生土、土生金、金生水、水生木) - 五行土王説:自然に存在する5つの要素のうち「土」を他の要素より強いという考え方。
(四季のそれぞれの終わりに「土用」という考え方を取り入れている)
四季それぞれの終わりの18日間
「季節の変わり目で体調が悪い」という経験をしたことがある人も多いと思います。
東洋医学(中医学)の概念のなかの「五行土王説」では、自然界の5つの要素である木・火・土・金・水のうち「土」を他の要素より強いと考え、季節の変わり目である四季の終わりの18日間を「土用(どよう)」と呼びます。
2024年~2025年の土用
- 春の土用:2024年4月16日(火)~2024年5月4日(土)
- 夏の土用:2024年7月19日(金)~2024年8月6日(火)
- 秋の土用:2024年10月20日(日)~2024年11月6日(水)
- 冬の土用:2025年1月18日(木)~2025年2月3日(土)
このように、四立(=立春、立夏、立秋、立冬)の直前の約18日間(~20日間)を土用と定め、この時期は「土の気」が盛んになると考えられています。
土用(季節の変わり目)は消化器系が弱る時期
季節の変わり目である「土用」は、五臓(肝・心・脾・肺・腎)のうち「脾」、五腑(胃、小腸、大腸、胆嚢、膀胱)では「胃」が他の臓器を養う働きをすると考えられています。
東洋医学での「脾」と「胃」は消化器系の働きをさし、次のような機能を司っています。
- 食べ物を吸収しエネルギーに変える働き
- 体内の体液(血液、唾液、尿など)のバランスを保つ
- 血液をつくる
「脾」と「胃」は土用の影響を受けやすく、下痢や食欲不振、口内炎や唇の炎症なども起こしやすくなります。
また、「脾」は五志(喜・怒・思・憂・恐)の「思(思い悩む)」の感情により心が病みやすくなると考えられています。
そして、甘いものが欲しくなったときは胃腸が弱っているサインなので、土用の時期の過食にはきをつけましょうね。
次回は、これから迎える「秋の土用」についてお伝えします。
凜鍼灸治療院は「季節の変わり目に起こる体調不良」に対するご相談もお受けしています。
お気軽にお申し出くださいね。
本日も最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございます。
(大変励みになります!)