凝り固まった筋肉に鍼灸治療が期待されている理由
アジアの伝統医学である鍼灸治療
凜鍼灸治療院は開院して11年が経ちますが、当院ではじめて鍼灸治療を受ける方も多くご来院されます。
患者様の多くが様々な悩みを抱えていらっしゃり、整形外科や整骨院(接骨院)、整体、マッサージ、カイロプラクティックなどにも通われている方が大勢いらっしゃいます。
さまざまな施術を受けている中で、鍼灸治療に期待を寄せてご来院してくださるみなさまへ、今一度、鍼灸治療についてご紹介させていただきます。
東洋医学や鍼灸治療、ツボ療法などと聞くと、やはり古代中国の伝統医術をイメージされると思います。
広い意味での東洋医学とは、中国伝統医学(中医学)やインドのアーユルヴェーダ、パキスタンのユナニ医学など、アジアの各地に伝わっている伝統医学を指しています。
現在の日本では、西洋医学と対比されるときの東洋医学は中国伝統医学のことを指しています。
西洋医学と東洋医学の特徴
特徴 | |
西洋医学 | 救急の病気やケガに強い、手術など身体内部にアプローチできる、局所をみる、病名から治療する |
東洋医学 | 病気になる前に施術ができる、全身の状態を総合的にみる、副作用が少ない、体への負担がすくない |
気血水の巡りを正常にする鍼灸治療
東洋医学では、人の体は「気・血・水」という基本要素で構成されていると考えられています。
- 気:生命活動を営むエネルギー
- 血:血液
- 水:血液以外の水分(体液)
人の体には「経絡(けいらく)」という通り道があり、健康な体では「気・血・水」が止まることなく巡っていると考えられています。
しかし、体になんらかの異常がある場合は、気や血の巡りが滞ったり、乱れたりして病気を引き起こします。
そんなときに、経絡上の反応点であるツボ(経穴)に鍼やお灸で刺激を与えることによって、乱れた巡りを調節するのが鍼灸治療です。
現代医学からみる鍼灸治療
現代の鍼灸治療は、整形外科やスポーツ医療の世界でも一般的に受け入れられつつあります。
鍼や灸をすることで、筋肉(組織)ではどのようなことが起こっているのでしょうか?
1.血流増加効果
解剖学的な見地からみると、鍼灸で筋肉を刺激すると神経経路が刺激され、局所の血管拡張と血流が促進されます。
鍼灸刺激により末梢神経が興奮し、求心性(末梢神経系から中枢神経系へとインパルスを伝導すること)に興奮が上行します。
この興奮が脳や脊髄の中枢神経に伝わると体に反射(防御反応)が起こり、血管を拡張させ、血流を増加し、筋肉に多くの酸素や栄養を与えます。
(反射:受けた刺激が大脳を介さないで神経中枢から筋肉などに反応となって伝わること)
また、鍼を刺すと皮膚に発赤(ほっせき)と呼ばれる反応が起こります。
発赤とは鍼を刺した部位の皮膚が赤くなることで、皮膚の毛細血管が広がり血流が増加したことを表しています。
この反応は中枢との反射とは別の末梢神経間で起こるもので、軸索反射(じくさくはんしゃ)と呼ばれ、血管拡張作用や鎮痛効果があります。
このように血管を拡張し血流を増加させることで、筋肉に蓄積された疲労物質や代謝産物などを排出し、筋肉の修復と収縮バランスを正常に戻すと考えられています。
2.自律神経系の調節(自律神経反射)
みなさんは飲みすぎや過食して胃の調子が悪い時に、背中が重かったり痛みが出たりした経験はありませんか?
これは「内臓体性反射」と呼ばれる働きで、内臓の機能が皮膚や筋肉に影響を与える自律神経反射のことです。
鍼灸治療はこの逆の反応である「体性内臓反射」を利用して治療を行っています。
「体性内臓反射」とは、内臓体性反射で皮膚や筋肉に現れた異常に対し、皮膚や筋肉に鍼灸治療で刺激を与えることにより、自律神経を介して内臓症状が軽減したり、筋肉が緩んだりする効果があります。
- 内臓体性反射(病気を表す反射):内臓の異常(受容器)→ 自律神経 → 筋肉の張りや痛み(効果器)
- 体性内臓反射(病気を治療する反射):筋肉や皮膚に刺激 → 自律神経 → 内臓の痛み軽減、筋肉を緩める
現代医学からみても、鍼灸治療はこれらのメカニズムを組み合わせることで、血流改善や筋緊張の改善、炎症軽減、疼痛緩和や組織の回復促進などに効果があると期待されている治療と考えられています。
西洋医学、東洋医学のどちらが良いということではなく、それぞれの医学がお互いに補い合う医療システムであることが理想的と言えるでしょう。
凜鍼灸治療院では、西洋医学・東洋医学の両方の観点からバランスよく施術やアドバイスを行っております。
ぜひご相談くださいね。
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