脾と胃のトラブル
脾と胃のトラブル
凜鍼灸治療院の健康ブログでは、10月の特集として「季節の変わり目の体調不良」についてお伝えしています
東洋医学では、季節の変わりの期間を「土用(どよう)」と呼び、消化器が機能低下する時期と考えています。この消化器の機能を担っている臓器が「脾」と「胃」で、これらは一緒に働くことから「脾胃」と呼ばれます。
前回は脾胃の働きについてみていきましたので、今回は脾胃が不調を起こすとどのような症状が出るのかをみていきましょう。
- 全身の倦怠感、疲労感
- やつれる
- 痰が出る
- むくみやすい
- 内臓下垂(胃下垂)
- 肌のたるみ
- 食後に眠くなる
- 腹痛、軟便、下痢
- 味覚異常
- 皮下出血、不正出血、月経過多
- めまい
- 胃痛
- 胃もたれ、膨満感
- 食欲不振
- 吐き気
上記の1〜11は「脾」の不調、12〜15は「胃」の不調で起こりやすい症状例です。
脾胃は食べた物(水穀)を消化吸収して、人体を構成する3つの要素である「気・血・水(津液)」の元となる水穀の精微(すいこくのせいび)を作り出し、全身へと送り届けるため「心」と「肺」まで運搬する働きを担っています。
そのため、脾胃の機能が低下してしまうと消化吸収(東洋医学では「運化」と言います)がうまく働かなくなり、食欲不振や消化不良、下痢などの消化器に不調が出ます。
脾胃が弱ると栄養を消化吸収できず「気・血・水(津液)」が作れないので、結果的に「気」が不足(以下「気虚」と称する)が起こり、全身の倦怠感や疲労感、気力の低下などの症状が出やすくなります。
また脾には「血」が血脈(血管系と経絡を併せ持った概念)から漏れないようにする統血(とうけつ)作用があります。この統血作用が低下すると、体外に血が漏れだしてしまい、皮下出血や不正出血、月経過多などの症状が生じます。
さらに脾胃は気や栄養分を上方に持つあげる作用があるので、脾胃の機能が低下すると、内臓下垂や胃下垂、肌のたるみが出やすくなります。
この持ち上げる作用を「昇清作用(しょうせいさよう)」と言います。
そして「水(津液)」の運搬も悪くなるため、むくみや痰といった水の不調も現れます。
古代中国の自然哲学思想である五行説では、脾胃の不調は口や唇、筋肉(肌肉)に現れると考えられています。
そのため脾胃の働きが悪くなると、味覚障害を起こしたり、唇の色艶が悪い、口内炎ができやすい、筋力の低下や肩こりなどの症状も出やすくなります。
このような季節の変わり目である土用に弱ってしまう脾胃を、どのようにしたら補えるのでしょうか?
次回は「弱った脾胃の補い方」についてお伝えして行きます。
本日も最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます。
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